「林原 (低カロリー甘味料の広告)」
「林原 (低カロリー甘味料の広告)」

1985

アートディレクター宮永磐夫さん、コピーライター中塚大輔さんから株式会社林原の新商品、低カロリー甘味料の広告撮影依頼があった。
当初は5年計画の広告展開だった。その初年度は誰が見ても減量が必要だと思う肥満体の被写体をモデルとして、5タイプ広告展開することになった。
広告立ち上がりは、潜在的に持っている肉体と性に関するコンプレックスをビジュアル化しようと考えたのだ。広告にはタブーとも言えるネガティブな視点からあえて出発した。

何につけても極端な世界を求めるならアメリカだろう。というわけでロサンジェルスへ行き、肥満体の若い女性をオーディションした。しかし、思ったほど集まらなかった。そこでサーカスに出演している二人を口説いてもらった。
ロサンジェルス郊外のどちらかというと殺伐とした場所を背景にピクニックで遊ぶ男と女。
恋人、夫婦、父と娘、どちらとも言えない曖昧なカップルに見えるように、肥満体の女性だけが可愛く見えるように考えた。

初年度制作した5点の内、2点が東京のビルボードに展開されると間もなく広告が打ち切られた。
インパクトが強すぎたのか、コンセプトを方向転換することになったのか、消滅した直接的な理由は知らされなかった。
このビジュアルからスタートして5年後のゴールまで、ネガティブからポジティブへ展開するように考えていた。今思い出しても残念で仕方ない。最後までやってみたかった広告だった。

AD→宮永磐夫、C→中塚大輔、CO→サニーサイドアップ

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