「砂漠にタコ (松下電器ストロボ雑誌広告)」
「砂漠にタコ (松下電器ストロボ雑誌広告)」

1975

ある出来事が起きそうな予感をビジュアル化出来ないか、と考えていた。
映画のようなドラマをたった1点の写真で表現することは可能か挑戦しようとした。広告だからこうしなければならない、というような条件や常識にとらわれたくなかった。むしろ広告だからこそ破天荒にやりたいと思っていた。
完璧に説明がつく写真はつまらない。
当時はどこか辻褄が合わないような唐突感に強烈惹かれていた

挙句の果ては、むしろ馬鹿馬鹿しさが持つ強さに思いっきり惹かれていった。
カップルが砂漠で音楽を楽しんでいる。
過去の出来事にも未来の出来事にも思えるような、いったいいつの話かわからない世界。
背後の丘から巨大なタコが唐突に現れる。
使われなくなったテーマパークの廃墟がイメージにあった。
タコの一部分だけあれば良い。部分は全体を凌駕するのだ。
気持ちよく音楽を聞いていたカップルは砂丘の向こう側で何が起きているか全く気づいていない。

とにかく馬鹿馬鹿しくあることが、巨大なパワーとインパクトを生み出すのだ。
そう信じて作った。

AD・D→東澤雅春、C→中塚大輔、松岡英輔、A→現代工房

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