「河原井緑 (雑誌写楽)」
「河原井緑 (雑誌写楽)」

1980

「原宿でスカウトされたらしいよ」と編集者の小田豊二さんから紹介された時は、果物のようにみずみずしい18歳だなと思った。
かつての日本の女優さんが持っているノスタルジックな雰囲気を感じた。幼さと成熟が交互に現れるような、見方によっては同時に現れているような、私の半分近い年齢なのに、時折りしぐさの内に、母という女性が持つ慈愛の雰囲気さえ感じていた。

何度かお会いするうちに、カメラの前で何をしたらよいか、むしろカメラの前では何もしない、場に溶け込んでしまうことが写真になった時の強さにつながる、を本能的な感性で身につけていらした。
この女性と旅をすれば、表現など考えない、自然な、私が撮りたかった女性の写真が撮れるぞと確信した。
展示した写真、撮影したのは今から42年前だ。
写真はいいなあ、と思う。見ていると、この時の風や波の音まで聞こえてくる。

強風に吹き荒れる津軽の漁港で撮った。

M→河原井緑、ST→小磯雅子、編集→小田豊二

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