暴力写真家と呼ばれて
小田さんからヌード撮影の話があった時に、真っ先に考えたのは、ヌード写真の現状だ。大部分の読者が若い男だからだろう、一方的に男から見ただけの女の姿態、欲情させることをネラったような女の姿が、一般的なヌードグラビアの方針だ。本当に欲情させて射精までこぎつける力を宿している写真ならまだしも、ただのニセポーズをお願いしたような軽い写真を撮るのは真っ平ごめんだった。では、どのようなヌード写真を撮ればいいのだろう。撮影日までに答えは見つからなかった。それで、撮影直前に二人のモデルさんに下剤を服用してもらうことにした。もちろん彼女たちは事前に了解していた。排泄する姿を見てから何を撮るか考えようと思った。何で排泄なんだろう。結果はどうにでもなれだった。結果まで考えていなかったというのが本当のところだ。僕自身も彼女達が要望することを何でもする覚悟だった。恥ずかしさを乗り越えた先に生まれてくる僕と彼女達の関係に期待した。強烈な臭いの中で撮影が始まった。今思い出しても冷や汗が噴出するような撮影だった。
(『感性のバケモノになりたい』より一部抜粋)