ピクニック

「見えないもの」は写そうと思うと写らない。撮影の意図とはまったく次元の異なったところに存在する。何が原因で姿を現すかわからない。偶然が運んでくるからこそ「見えないもの」は写真的なのだ。

しかし、偶然をひたすら待ち続けるわけにはいかない。漠然とピントグラスを見続けていても駄目だ。「見えないもの」を感じるためのきっかけはないのだろうか。偶然と出会えるためのスタンバイって、具体的に何をしていればいいのか考えていた。

《ピクニック》の写真は、「偶然と出会うためのスタンバイ」を考えている時期に撮影した。それにしても、「ピクニック」の言葉から生まれるイメージと、撮った写真の世界があまりにもかけ離れている。何故、タイトルを《ピクニック》と名付けたのかわからない。きっと、自分なりの理由があったのだろうけど思い出せない。
(『感性のバケモノになりたい』より一部抜粋)

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