「untitled 首なし (雑誌カメラ毎日)」
「untitled 首なし (雑誌カメラ毎日)」

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写真は目の前にある見えるものを写すことで成り立つなら、見えないものはどうしたらよいのか考えるようになった。結果、全身のポートレートから顔だけをフレームアウトした作品に行き着いた。見えない顔の行方は、写真を見た人の想像と記憶との関係に委ねられる。その曖昧さが当時の自分の不安感にぴったり当てはまると思えたのだ。
撮影方法は、まず被写体の全身が入るフレームを決め、顔分のサイズだけカメラをシフトダウンして結果顔をフレーム上部外に押し出した。そのため、足元から下は不安定な空間が写った。
1972年『カメラ毎日』に作品「untitled」と題して発表しこれが実質的なデビュー作となった。タイトルは当時同誌編集長だった山岸章二さんが決めた。

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